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基礎解説 2026年7月24日 読了 約6分

毛周期(ヘアサイクル)とは?
髪が生えて抜けるしくみを、やさしく解説

「最近、抜け毛が増えた気がする…」——排水口の髪を見てドキッとした経験はありませんか。でも実は、髪は生えっぱなしではなく、生えて・伸びて・抜けて・また生える、というサイクルをくり返しています。このリズムを毛周期(ヘアサイクル)と呼びます。まずこのしくみを知ると、「どこまでが普通の抜け毛で、どこからが気にすべき変化か」が見えやすくなります。
先に結論

髪の毛は、成長期(アナゲン)→ 退行期(カタゲン)→ 休止期(テロゲン)という3つの段階をくり返しています。抜けること自体は、このサイクルの正常な一部。1本ずつが自分のタイミングでめぐっているので、毎日ある程度の抜け毛があるのはむしろ自然なことです。大切なのは「抜けたかどうか」より、その後にきちんと生えてくるか、そして成長期がしっかり続くかという視点です。

この記事は、育毛剤や特定の商品をすすめるものではありません。髪のしくみそのものを、中立にやさしく解説する「基礎解説」です。しくみがわかると、あとで出てくる薄毛・AGAの話も、ぐっと理解しやすくなります。

毛周期の3つの相をイメージで
下の図は、髪1本がたどる流れをやさしく表したイメージです(相の長さの実際は個人差・部位差があります)。
① 成長期(アナゲン):毛が根元で作られ、太く長く育つ時期
いちばん長い
② 退行期(カタゲン):成長が止まり、根元が縮んでいく時期
ごく短い
③ 休止期(テロゲン):毛が抜けて、次の毛を待つお休みの時期
短め

① 成長期(アナゲン)——髪がぐんぐん育つ、いちばん長い時期

成長期は、毛の根元にある毛母(もうぼ)細胞が活発に分裂し、髪が作られて太く・長く育っていく時期です。頭の毛では、この成長期が数年単位で続くとされ、3つの相のなかでいちばん長い期間を占めます。髪を長く伸ばせるのは、この成長期が長いおかげです。

この時期の髪は、おおよそ1日あたり0.3〜0.4mmほど伸びると一般に言われています。1か月ではおよそ1cm前後。数字にすると小さく見えますが、これがコツコツ積み重なって髪の長さになっていきます。

ここがポイント

髪の「長さ」も「太さ」も、成長期がどれだけしっかり続くかで大きく決まります。だからこそ、髪の悩みを考えるうえで「成長期の長さ」がひとつのカギになります。

② 退行期(カタゲン)——成長にブレーキがかかる、短い切り替えの時期

成長期がひと区切りつくと、髪は退行期に入ります。毛母細胞の分裂が止まり、毛根が少しずつ縮んで、上のほうへ押し上げられていく時期です。期間は3つの相のなかでもっとも短く、いわば「成長」から「お休み」へ切り替わる短い移行期間にあたります。この時期には、もう髪は伸びません。

③ 休止期(テロゲン)——抜けて、次を待つお休みの時期

退行期を経て、髪は休止期に入ります。毛はしっかり根を張った状態ではなくなり、やがて自然に抜け落ちます。そして同じ毛穴の奥で新しい髪が育ち始め、ふたたび成長期へ——こうしてぐるりと一周します。

大事なのは、髪1本1本が、それぞれ別々のタイミングでこのサイクルをめぐっているということ。全部がいっせいに抜けるわけではないので、いつ見てもほとんどの髪は成長期にあり、一部だけが休止期で抜けていく——という状態が保たれます。

「1日50〜100本」は正常の目安

健康な人でも、1日におよそ50〜100本ほどは自然に抜けると一般に言われています。これは休止期を終えた髪が寿命をまっとうして抜けているだけで、異常ではなく毛周期の正常な一部。シャンプーやブラッシングでまとまって抜けて見えても、その多くはもともと抜ける準備ができていた髪です。「抜けた=減った」ではない、というのがしくみからわかる大切なポイントです。

AGA(男性型脱毛症)では、毛周期に何が起きる?

では、薄毛が進むときには何が変わるのでしょうか。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、AGA(男性型脱毛症)について、髪が太く長く育つ「成長期」が短くなることが特徴として説明されています。成長期が十分に続かないため、髪は育ちきる前に退行期・休止期へ進んでしまうのです。

これをくり返すうちに、生えてくる髪はだんだん細く・短く・色も薄くなっていきます(この変化は軟毛化と呼ばれます)。つまりAGAは、「毛穴が急になくなる」というより、毛周期のリズムそのものが乱れ、1本1本が育ちきれなくなっていく変化としてとらえられています。

出典:Manabe M, et al. Guidelines for the diagnosis and treatment of male-pattern and female-pattern hair loss, 2017 version. J Dermatol. 2018. PMID: 29863806
読み方のコツ:しくみを知ることと、対処は別の話

この記事は毛周期という「しくみ」の解説であり、特定のケア方法や商品の効果を説明・保証するものではありません。抜け毛や薄毛が気になる場合、その原因は毛周期の乱れ以外にもさまざまで、自己判断が難しいこともあります。気になる変化が続くときは、皮膚科など専門の医療機関に相談するのが確実です。(※化粧品・サプリメント・育毛用品は、特定の効果を保証するものではありません。)

Q結局、毛周期を知ると何がいいんですか?
A
運営者より(医療従事者・美容室オーナー)いちばんの効用は、いらない不安に振り回されなくなることです。毎日多少の抜け毛があるのは正常で、それだけで「薄くなった」と決まるわけではありません。一方で、抜けた後に細く短い毛が増えてきた分け目や生え際の印象が数か月単位で変わってきた——こうした「成長期が短くなっているサイン」は、しくみを知っているほど気づきやすくなります。慌てて何かを買う前に、まず自分の髪の状態を落ち着いて見る。その土台になるのが毛周期の知識です。※これは一般的な情報で、個別の診断ではありません。

よくある質問

Q1日にどのくらい抜けると正常?
個人差はありますが、健康な人でも1日あたりおおよそ50〜100本ほどは自然に抜けると一般に言われています。休止期を終えた髪が抜け、その下から新しい髪が育つためで、抜けること自体は毛周期の正常な一部です。
Q髪は1日にどのくらい伸びる?
成長期にある髪は、おおよそ1日あたり0.3〜0.4mmほど伸びると一般に言われています。1か月にするとおよそ1cm前後が目安で、伸びる速さには部位差や個人差があります。
QAGAでは毛周期がどう変わる?
診療ガイドラインでは、AGAでは髪が長く太く育つ成長期が短くなり、くり返すうちに髪が細く短くなっていく(軟毛化)と説明されています。生える本数より、1本1本が育ちきる前に抜けてしまうことが特徴とされています。実際のケアについては、AGAの記事もあわせてご覧ください。
まとめ
実際のケアを知りたい方へ

「発毛・育毛は何が効くの?」をエビデンスで

この記事はしくみの解説まで。実際にAGA・薄毛にどんな方法が研究で検討されているかは、別記事で中立にまとめています。

※本記事は公開されている診療ガイドラインや一般的な生理学の知見をもとにした情報提供であり、特定の化粧品・サプリメント・育毛用品・治療の効果を保証するものではありません。抜け毛や薄毛など気になる症状がある場合は皮膚科医にご相談ください。

参考文献

  1. 1. Manabe M, Tsuboi R, Itami S, et al. Guidelines for the diagnosis and treatment of male-pattern and female-pattern hair loss, 2017 version. J Dermatol. 2018;45(9):1031-1043. doi:10.1111/1346-8138.14470. PMID: 29863806. PubMed

出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。毛周期の相の長さや抜け毛の本数は個人差があり、本文の数値は一般的な目安です。