フケ・かゆみが治らない…原因は"乾燥"だけじゃない?
脂漏性皮膚炎と頭皮の正体を論文で解説
フケ・かゆみ・脂漏性皮膚炎は、皮脂とマラセチア菌が関わって起こると考えられています。だから対策の中心は、保湿でも洗浄力アップでもなく、抗真菌成分などを配合した「薬用シャンプー」で頭皮環境を整えること。顔の脂漏性皮膚炎では塗るタイプの治療が有効との系統的レビュー(カナダの研究)があり、頭皮でも同じ方向のケアが基本です。まず有効成分入りの薬用シャンプー、改善しなければ皮膚科——これが遠回りしないルートです。
- まずどれを選ぶか迷ったら → 有効成分(ミコナゾール硝酸塩・ピロクトンオラミン・ジンクピリチオンなど)が書かれた「薬用シャンプー」を選ぶ。ドラッグストアや通販の医薬部外品コーナーにあります。
- 皮脂やベタつき、においが気になる → ミコナゾール硝酸塩などの抗真菌成分や二硫化セレンを配合したタイプを。
- 毎日つづけやすさ重視・軽いフケ → ジンクピリチオン配合の日常使いタイプを、やさしく洗って継続。
- 数週間つづけても良くならない/赤み・かさぶたが広がる/かゆみ・痛みが強い → 市販で粘らず皮膚科へ(塗り薬などの処方が必要なことがあります)。
※薬用シャンプー(医薬部外品)は「フケ・かゆみを防ぐ」範囲のケアで、病気を治す薬ではありません。以下で理由を解説します。
ポイントは、フケを「ただの乾燥」や「不潔」と決めつけないこと。脂漏性皮膚炎は、皮脂が多く出る頭皮・生え際・小鼻まわりなどに起きやすく、皮脂を好むマラセチアの働きが関与すると考えられています。つまり、うるおいを足すより、菌と皮脂のバランスに働きかけるほうが理にかなっているのです。
(フケ・脂漏性皮膚炎に関係)
(顔の脂漏性皮膚炎で支持)
菌のバランス・皮脂を整える方向
さらに近年、中国で行われた観察研究(実際の人の頭皮を調べた研究)では、フケの重さや性別によって頭皮の菌のバランス(菌叢=そこにすむ菌の集まり)に違いがみられることも報告されています。フケは一様な現象ではなく、頭皮の環境そのものが背景にあることを示す結果です。
かゆいからと爪でゴシゴシ掻くと、頭皮に細かい傷ができ、赤み・かさぶた・かゆみの悪循環に入りやすくなります。脂漏性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返しやすいのも特徴。だからこそ、刺激を足すより頭皮環境そのものを整えるケアを、症状が軽いうちから続けることが近道です。
対策の主役は「有効成分入りの薬用シャンプー」
脂漏性皮膚炎の治療で長く使われてきたのが、抗真菌成分です。なかでもケトコナゾールは、皮膚科での使いみちを整理したアメリカの系統的レビュー(研究をまとめて調べたもの)でも中心的に扱われており、脂漏性皮膚炎などへ塗って使うことが検討されてきました。
ただし日本では、ケトコナゾールは主に医療機関で処方される薬です。市販(医薬部外品)の薬用シャンプーでは、ミコナゾール硝酸塩・ピロクトンオラミン・ジンクピリチオンなどを配合したものが選択肢になります。また、二硫化セレンは、フランスの研究で、頭皮の菌のバランスと皮脂の質を整える方向で働くと報告されています。
- 有効成分で選ぶ:ミコナゾール硝酸塩・ピロクトンオラミン・ジンクピリチオンなどの記載を確認。
- 頭皮になじませて少し置く:泡をすぐ流さず、頭皮に行き渡らせてからすすぐと有効成分が働きやすいとされます。
- ゴシゴシ洗わない:爪を立てず、指の腹でやさしく。刺激はかゆみを増やします。
- 続けて様子を見る:良くなっても急にやめず、頻度を調整しながら継続を。
市販ケアで足りる?——皮膚科に行くべきライン
薬用シャンプーはあくまで医薬部外品で、表示できるのは「フケ・かゆみを防ぐ」といった承認された効能の範囲です。脂漏性皮膚炎そのものを「治す」とうたう市販品はありません。次のような場合は、自己流を続けずに皮膚科へ。
薬用シャンプーを数週間続けても改善しない/赤みやかさぶたが広がる・顔や体にも出る/かゆみや痛みが強い——こうした場合は、抗真菌薬やステロイド外用など、医師の判断による治療が必要なことがあります。市販ケアと医療は「どちらか」ではなく、まず市販で整え、ダメなら受診という順番で使い分けるのが賢い方法です。(※化粧品・医薬部外品は、特定の病気を治療するものではありません。)
なお、成分ごとの位置づけや選び方をもっと詳しく知りたい方は、シャンプーの有効成分を格付けした記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
Qフケは洗いすぎ?洗わなさすぎ?
Q市販の薬用シャンプーで治る?
Qどんな有効成分を選べばいい?
- フケ・脂漏性皮膚炎は皮脂と常在菌(マラセチア)が関わって起こる
- 顔の脂漏性皮膚炎では塗るケアが有効との信頼度の高い研究(カナダの系統的レビュー)があり、頭皮でも同方向のケアが基本
- 市販は有効成分入りの薬用シャンプー(ミコナゾール等)、やさしく洗って続ける
- 薬用シャンプーは「フケ・かゆみを防ぐ」効能の範囲。改善しなければ皮膚科へ
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の化粧品・医薬部外品・治療の効果を保証するものではありません。フケ・かゆみ・赤みが続く、または悪化する場合は皮膚科医にご相談ください。
参考文献
- 1. Gupta AK, Versteeg SG. Topical Treatment of Facial Seborrheic Dermatitis: A Systematic Review. Am J Clin Dermatol. 2017;18(2):193-213. doi:10.1007/s40257-016-0232-2. PMID: 27804089. PubMed
- 2. Choi FD, Juhasz MLW, Atanaskova Mesinkovska N. Topical ketoconazole: a systematic review of current dermatological applications and future developments. J Dermatolog Treat. 2019;30(8):760-771. doi:10.1080/09546634.2019.1573309. PMID: 30668185. PubMed
- 3. Clavaud C, Michelin C, Pourhamidi S, et al. Selenium disulfide: a key ingredient to rebalance the scalp microbiome and sebum quality in the management of dandruff. Eur J Dermatol. 2023;33(S1):5-12. doi:10.1684/ejd.2023.4400. PMID: 37098773. PubMed
- 4. Liang B, Pu M, Xu YN, et al. Dandruff scalp microbiome exhibits flake severity and sex-related differences. Br J Dermatol. 2025;193(Suppl 2):ii32-ii39. doi:10.1093/bjd/ljaf099. PMID: 41118316. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。本文の記述は原著抄録で確認できる範囲にとどめ、具体的な効果量の数値は掲載していません。