爪水虫(爪白癬)は"ネイルの土台"の問題
いちばん効く治し方を、論文で解説
- 爪が白く濁る・分厚い → まず皮膚科で顕微鏡の検査を受け、原因が水虫のカビ(真菌)かを確かめる。似た見た目でもカビ以外のことがあります
- カビが原因と分かった → いちばん手ごたえがはっきりしているのは飲み薬のテルビナフィン(医師の処方が必要)
- 肝臓や飲み合わせで飲み薬が使いにくい → 塗り薬のエフィナコナゾールや、レーザーと塗り薬の併用が選択肢
- ドラッグストアで買いたい → 市販の爪用の抗真菌薬(医薬品)もありますが、自己判断で塗り続ける前に一度受診を
※抗真菌の飲み薬は医師の処方が必要な「医薬品」です。市販の化粧品・雑貨は特定の病気を治療するものではありません。以下で理由を解説します。
カナダの研究グループが、実際の人で公平に比べた信頼できる試験を集めて解析した研究では、連日のテルビナフィン(飲み薬)やイトラコナゾール(飲み薬)は、塗り薬より「検査で原因のカビが消えた割合」が明らかに高いと報告されています。なかでもテルビナフィンの飲み薬が最も強いという比較結果があり、塗り薬の効く範囲は限定的。レーザーの併用は飲み薬が使いにくい人の選択肢です。つまり、自己流のセルフケアより、皮膚科の受診が近道。抗真菌の飲み薬は医師の処方が必要です。
この研究は26件の試験(実際の人で公平に比べたもの)・のべ8136人という大きなまとまりで、爪水虫の治療をまとめて比較したもの。ポイントは、「塗る」より「飲む」ほうが真菌学的治癒(原因のカビが検査で消える)に到達しやすいという点です。同じ研究では爪白癬が爪の病気の約50%を占めるとも述べられており、爪トラブルの"土台"に多い病気だとわかります。
カビが消える起こりやすさ
(イトラコナゾールとの比較)
完全に治った割合(成分なし液3.3%)
16週で治った割合
(塗り薬だけ20.3%)
飲み薬のなかでも差がある:テルビナフィン vs イトラコナゾール
「飲み薬」とひと口に言っても、種類で治りやすさが違います。アメリカの研究者が複数の試験をまとめて分析した結果では、テルビナフィン(飲み薬)で検査からカビが消える起こりやすさは、イトラコナゾール(飲み薬)の1.8〜2.9倍と報告されています。つまり飲み薬のなかでもテルビナフィンが一段強いという結果です。
爪が白く濁る・分厚くなる・もろくなる——これは爪水虫でよくみられますが、ぶつけた古傷や、爪自体の別の病気でも同じような見た目になります。見た目だけでは区別できません。確定診断は皮膚科での顕微鏡検査などが必要で、原因が違えば抗真菌薬は効きません。「たぶん水虫」と決めつけて市販薬を塗り続ける前に、まず一度診てもらうのが結局は近道です。
塗り薬はどこまで効く?
「注射も飲み薬もこわい、塗るだけで治したい」という気持ちはよくわかります。処方が必要な塗り薬の抗真菌薬として研究があるのがエフィナコナゾール10%液。アメリカで行われた承認前の大規模な2つの試験では、完全に治った割合が17.8%/15.2%で、有効成分を含まない液(3.3%/5.5%)より高い、という結果でした。効果はありますが、数字そのものは飲み薬より控えめで、塗り薬の効く範囲は限られるといえます。
エフィナコナゾールのような抗真菌の外用液・内服薬は「医薬品」で、多くは医師の処方が必要です。ドラッグストアで買える市販の爪用ケア(医薬品/化粧品)とは位置づけが異なり、上の研究結果がそのまま市販品にあてはまるわけではありません。「爪水虫を治す」目的なら、まず皮膚科で診断と処方の相談を。(※化粧品・雑貨は特定の疾患を治療するものではありません。)
レーザーは"併用"で意味が出る
ネイルサロンやクリニックで耳にするレーザー治療。韓国で実際の人を公平に比べた試験では、Nd:YAGレーザーとアモロルフィン(塗り薬)の併用群で、16週で治った割合が71.88%と、アモロルフィン塗り薬だけの20.31%を上回りました。ただしこれは「塗り薬に上乗せした併用」の話。飲み薬が使える場合の第一選択はあくまで飲み薬で、レーザー併用は飲み薬が使いにくい人などの選択肢と考えるのが妥当です。
よくある質問
Q爪が白く濁っていたら爪水虫?
Q市販の塗り薬だけで治せる?
Qレーザーはどんなときの選択肢?
- 爪水虫(爪白癬)は爪疾患の約50%を占める、ネイルの"土台"に多い病気
- 研究をまとめて分析した論文では飲み薬(テルビナフィン等)で検査からカビが消えた割合が塗り薬より明らかに高い
- 飲み薬のなかでもテルビナフィンはイトラコナゾールの1.8〜2.9倍カビが消えやすい
- 塗り薬(エフィナコナゾール)は完全に治った割合17.8%と効果は控えめ、レーザーは併用で意味が出る
- 抗真菌薬は医薬品(飲み薬は要処方)。自己判断より皮膚科の受診が近道
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の化粧品・医薬品・治療の効果を保証するものではありません。爪の変色・肥厚などが気になる場合や、治療を検討する場合は皮膚科医にご相談ください。抗真菌の内服薬は医師の処方が必要です。
参考文献
- 1. Gupta AK, Foley KA, Mays RR, Shear NH, Piguet V. Monotherapy for toenail onychomycosis: a systematic review and network meta-analysis. Br J Dermatol. 2020;182(2):287-299. doi:10.1111/bjd.18155. PMID: 31120134. PubMed
- 2. Krob AH, Fleischer AB Jr, D'Agostino R Jr, Haverstock CL, Feldman SR. Terbinafine is more effective than itraconazole in treating toenail onychomycosis: results from a meta-analysis of randomized controlled trials. J Cutan Med Surg. 2003;7(4):306-11. doi:10.1007/s10227-002-0143-0. PMID: 14738099. PubMed
- 3. Elewski BE, Rich P, Pollak R, et al. Efinaconazole 10% solution in the treatment of toenail onychomycosis: Two phase III multicenter, randomized, double-blind studies. J Am Acad Dermatol. 2013;68(4):600-8. doi:10.1016/j.jaad.2012.10.013. PMID: 23177180. PubMed
- 4. Park KY, Suh JH, Kim BJ, Kim MN, Hong CK. Randomized Clinical Trial to Evaluate the Efficacy and Safety of Combination Therapy with Short-Pulsed 1,064-nm Neodymium-Doped Yttrium Aluminium Garnet Laser and Amorolfine Nail Lacquer for Onychomycosis. Ann Dermatol. 2017;29(6):699-705. doi:10.5021/ad.2017.29.6.699. PMID: 29200757. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。効果量は原著の抄録で確認した数値のみを掲載しています。