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まつ毛・眉 2026年7月24日 読了 約6分

まつ毛美容液の"副作用"
——色素沈着・目のくぼみは本当?

「まつ毛美容液を使うと目がくぼむ」「色素沈着する」——SNSでよく見る話ですが、本当なのでしょうか。まつ毛を"伸ばす"効果がはっきりしているのはビマトプロストなどのプロスタグランジン類似成分です。ところがこの系統の成分には、効果と引き換えに報告されている副作用があります。この記事では、うわさではなく学術論文(総説・観察研究・RCT)をもとに、正直にまとめました。
先に結論

ビマトプロスト等のプロスタグランジン類似成分では、「色素沈着」「まぶたのくぼみ(眼窩脂肪の萎縮)」「充血・塗布時の不快感」が報告されています。効果がある成分ほど、体への作用も無視できません。医薬品のビマトプロストは処方が必要な医療用医薬品で、医師の管理下で使うもの。市販のまつ毛美容液(化粧品)も、同じ系統の成分を含む製品には注意が必要です。「伸びるから安全」ではない、というのが正直なところです。

出典:Steinsapir KD, Steinsapir SMG. Revisiting the Safety of Prostaglandin Analog Eyelash Growth Products. Dermatol Surg. 2021. PMID: 33625141

この総説(レビュー)が指摘しているのは、なかなか厳しい内容です。市販されているプロスタグランジン類似体まつ毛美容液の臨床試験は、その多くが業界(メーカー側)の資金で行われており、塗布時の不快感や、後で述べる"プロスタグランジン関連眼窩周囲症"といった副作用が、系統的に過小報告されている可能性がある——というものです。つまり「試験では副作用が少なかった」という数字を、そのまま鵜呑みにはできない、ということです。

整理して見る:報告されている3つの副作用と、その根拠
出典:Steinsapir 2021(総説)PMID:33625141/Zaleski-Larsen 2017(後ろ向き観察研究)PMID:28562438/Glaser 2015(RCT)PMID:25296533。下の割合バーは"報告の有無"を示すもので、発生頻度そのものではありません(頻度は試験により差があり、過小報告の可能性も指摘されています)。
総説
副作用の過小報告の可能性を指摘
(Steinsapir 2021)
観察
虹彩の色素沈着変化との関連を検討
(Zaleski-Larsen 2017)
RCT
医薬品の長期安全性・有効性を評価
(Glaser 2015)
色素沈着(虹彩・まぶた)
報告あり
目のくぼみ(眼窩脂肪の萎縮・上眼瞼溝の深化)
報告あり
充血・塗布時の不快感
報告あり

ここでのポイントは、これらが「一部の口コミ」ではなく、眼科・皮膚科の専門誌で議論されている副作用だということです。過度に怖がる必要はありませんが、「効果がある成分には、相応の注意点もある」という前提で向き合うのが、いちばん現実的です。

「目がくぼむ」——プロスタグランジン関連眼窩周囲症

SNSで語られる「目がくぼむ」は、まったくの作り話ではありません。プロスタグランジン類似体では、まぶたの奥にある脂肪(眼窩脂肪)が萎縮し、上まぶたのくぼみ(上眼瞼溝)が深くなる変化が知られており、これは"プロスタグランジン関連眼窩周囲症"と呼ばれます。もともと緑内障の点眼薬(ビマトプロストはこの用途の医薬品でもあります)で観察されてきた現象で、まつ毛への使用でも起こりうると考えられています。

効果の裏にある変化

上記のSteinsapirらの総説は、市販まつ毛美容液の試験がこうした眼窩周囲の変化を十分に評価・報告してこなかった可能性を問題視しています。まつ毛が伸びるのと同じ"作用の強さ"が、目もとの脂肪や色素にも影響しうる——「良い効果だけ都合よく現れる」わけではない、という点は知っておきたいところです。

色素沈着——虹彩・まぶたの色が変わることも

もうひとつよく挙がるのが色素沈着です。局所(点眼・塗布)でのビマトプロスト使用と、虹彩(目の茶色い部分)の色素沈着の変化との関連を検討した後ろ向きの観察研究があります。虹彩の色が濃くなる変化は元に戻りにくいとされ、まぶたの皮膚の色素沈着が報告されることもあります。

出典:Zaleski-Larsen LA, Ruth NH, Fabi SG. Retrospective Evaluation of Topical Bimatoprost and Iris Pigmentation Change. Dermatol Surg. 2017. PMID: 28562438

後ろ向き観察研究は、RCTほど因果関係を強く示すものではありません。それでも、「色が変わる可能性がある」という注意喚起としては十分に意味のある報告です。とくに虹彩の色は見た目に直結し、戻りにくいとされるだけに、目に近い部位へ使う成分として軽く見ないほうがよいでしょう。

では「まったく危険」なのか?——医薬品は医師の管理下で

ここまで副作用の話が続きましたが、「だから絶対に使ってはいけない」という単純な話でもありません。医薬品としてのビマトプロストには、長期の安全性と有効性を評価したRCTもあります。

出典:Glaser DA, Hossain P, Perkins W, et al. Long-term safety and efficacy of bimatoprost solution 0.03% application to the eyelid margin for treatment of idiopathic and chemotherapy-induced eyelash hypotrichosis: a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2015. PMID: 25296533
大事な"読み方"のコツ:管理下かどうか

こうしたRCTはビマトプロスト0.03%を「医薬品として」評価したものです。ビマトプロストは日本では医療用医薬品(要処方)にあたり、医師の診察・管理のもとで使うことが前提です。副作用が出ていないかを専門家がチェックできる環境と、市販品を自己判断で使い続ける状況とでは、安全性の担保がまったく違う——この差を取り違えないことが大切です。(※医薬品の使用は必ず医師の指示に従ってください。)

なお、「まつ毛美容液で本当に伸びるのか?」という効果の全体像——市販の化粧品と医薬品で根拠がどう違うのかについては、まつ毛美容液の効果を検証した記事でくわしく解説しています。あわせて読むと、効果と副作用の両面から判断しやすくなります。

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選ぶときの視点 成分を確認して選ぶ——市販まつ毛美容液・目もとケアをタイプ別にチェック
市販まつ毛美容液(化粧品)
保湿・保護が目的。成分表示を確認して選ぶ
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目もと保湿・アイケア
目もとの乾燥ケアに。医薬品の代わりではありません
※価格・在庫は各サイトでご確認ください。上記は商品タイプ別の検索リンクです(広告)。市販まつ毛美容液は化粧品であり、特定の効果を保証するものではありません。ビマトプロスト等の医薬品は市販の検索対象ではなく、必ず医師の処方・管理のもとで使用してください。
Q結局、まつ毛美容液は使わないほうがいいの?
A
運営者より(医療従事者・美容室オーナー)「絶対にダメ」でも「安心して使い放題」でもありません。大切なのは、効果がはっきりしている成分ほど副作用の報告もあるという事実を知ったうえで選ぶことです。まつ毛を確実に伸ばしたいなら、要処方の医薬品を眼科・皮膚科で相談し、管理下で使うのが筋。市販の化粧品を使うなら、成分を確認し、異常があればすぐ中止する——この一線を守れば、うわさに振り回されずにすみます。※これは論文の内容にもとづく一般的な情報で、個別の診断・治療ではありません。

よくある質問

Q本当に「目がくぼむ」ことはある?
プロスタグランジン類似体では、まぶたの奥の脂肪(眼窩脂肪)が萎縮し、上まぶたのくぼみが深くなる変化(プロスタグランジン関連眼窩周囲症)が報告されています。総説では、市販製品の試験でこうした副作用が過小報告されている可能性も指摘されています。
Q色素沈着は起こる?
局所ビマトプロストと虹彩(目の茶色い部分)の色素沈着変化との関連を検討した観察研究があります。まぶたの皮膚の色素沈着が報告されることもあります。虹彩の変化は戻りにくいとされるため、異常を感じたら中止し眼科へ相談してください。
Q市販の美容液なら副作用は関係ない?
ビマトプロストは要処方の医療用医薬品です。市販のまつ毛美容液は化粧品で効能を断定できませんが、プロスタグランジン類似の成分を含む製品もあります。同系統の成分には注意し、刺激・充血・色調の変化があれば使用を中止しましょう。
まとめ
成分を確認して選ぶ

市販のまつ毛美容液を探す

※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の化粧品・医薬品の効果や安全性を保証するものではありません。ビマトプロスト等の医薬品は医師の処方が必要で、必ず医師の指示に従って使用してください。まつ毛・目もとの症状が気になる場合は眼科・皮膚科にご相談ください。

参考文献

  1. 1. Steinsapir KD, Steinsapir SMG. Revisiting the Safety of Prostaglandin Analog Eyelash Growth Products. Dermatol Surg. 2021;47(5):658-665. doi:10.1097/DSS.0000000000002911. PMID: 33625141. PubMed
  2. 2. Zaleski-Larsen LA, Ruth NH, Fabi SG. Retrospective Evaluation of Topical Bimatoprost and Iris Pigmentation Change. Dermatol Surg. 2017;43(12):1431-1433. doi:10.1097/DSS.0000000000001204. PMID: 28562438. PubMed
  3. 3. Glaser DA, Hossain P, Perkins W, Griffiths T, Ahluwalia G, Weng E, Beddingfield FC. Long-term safety and efficacy of bimatoprost solution 0.03% application to the eyelid margin for treatment of idiopathic and chemotherapy-induced eyelash hypotrichosis: a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2015;172(5):1384-94. doi:10.1111/bjd.13443. PMID: 25296533. PubMed

出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。副作用の記述は原著の内容にもとづき、発生頻度の具体値は本文では断定していません。