まつ毛エクステで目が痛い・充血する…
そのリスクと対策、論文でわかること
まつ毛エクステでは、接着剤や除去剤による角結膜炎・アレルギー性眼瞼炎などの眼障害が報告されています。日本の眼科を受診した107例をまとめた症例研究では、角結膜炎が64例、アレルギー性眼瞼炎が42例にみられ、検査した接着剤3種すべてから基準値を超えるホルムアルデヒドが検出されたと報告されています。多くは適切な治療で改善したとされますが、「目の際に薬剤を使う施術」であるという前提を知り、施術者の技術と衛生を見極めることが大切です。
ポイントは、これが「一部の口コミ」ではなく、眼科を受診した患者を医師が診断してまとめた記録だということ。まつ毛エクステは多くの人が問題なく楽しんでいる一方で、こうしたトラブルが一定数起きうることも事実です。過度に怖がる必要はありませんが、リスクをゼロと考えるのも正確ではありません。
角結膜炎(107例中)
(107例中)
アレルギーのリスク(対照比)
角結膜炎は、接着剤そのものや、付け替えのときに使う除去剤(リムーバー)が目に触れることで起こると報告されています。アレルギー性眼瞼炎は、接着剤の成分に対するアレルギー反応です。同じ人が繰り返しトラブルを起こすこともあり、「一度大丈夫だったから今後も安全」とは限りません。
上記の症例研究では、検査した接着剤3種すべてから、基準値を超えるホルムアルデヒドが検出されたと報告されています。ホルムアルデヒドは刺激やアレルギーの原因になりうる物質です。接着剤の品質にはばらつきがあり、施術者がどう扱うか(量・乾かし方・目に入れない技術)が、トラブルの起きやすさを左右すると考えられます。
実は"施術する側"にもリスクがある
まつ毛エクステの接着剤には、シアノアクリレート系やアクリル系(HEMA=2-ヒドロキシエチルメタクリレートなど)の成分が使われます。これらは接触アレルギーの原因になりうることが知られており、繰り返し扱う施術者(美容従事者)ほど影響を受けやすいと報告されています。
このシステマティックレビューでは、美容・理容従事者はHEMAへの接触アレルギーのリスクが、曝露のない人のおよそ9倍高かったと報告されています。これは主に施術者側の職業性の話ですが、「まつ毛エクステの接着剤は、それだけアレルギーを起こしうる成分を含む」という事実を示しています。受ける側も、目もとに使う薬剤だという意識を持っておくと安心です。
まつ毛エクステの健康被害は日本でも全国的に調査されており、身近な施術だからこそ実態が把握されてきました。ただし、これらは「エクステは危険だから絶対にやめるべき」という意味ではありません。トラブルの多くは適切な治療で改善していると報告されており、大切なのはリスクを知ったうえで、信頼できる施術者を選び、異常時に早く対処することです。(※症状の感じ方には個人差があり、体質によってはトラブルが起きやすい方もいます。)
トラブルを避けるためにできること
- 衛生と技術が確かなサロン・施術者を選ぶ:接着剤の扱いや使い捨て器具など、清潔さは大きな差になります。
- 初回は違和感・アレルギーの有無を確認:しみる・痛い・かゆいと感じたら無理をしない。心配ならパッチテストの相談を。
- 目もとを清潔に保つ:まつ毛の根元は皮脂や汚れがたまりやすい部分。専用の洗浄でやさしくケアを。
- 充血・痛み・かゆみが続くときは自己判断しない:市販の目薬でごまかさず、早めに眼科へ。
特に大切なのが最後の一点です。目の充血や痛みは、放置すると悪化することもあります。症例研究でも多くは適切な治療で改善していますが、それは「きちんと受診したから」でもあります。異常を感じたら我慢せず、まつ毛エクステをした旨を伝えて眼科を受診してください。
よくある質問
Q目のトラブルは本当に起きる?
Q接着剤にホルムアルデヒドが入っているの?
Qトラブルを避けるには?
- まつ毛エクステは目の際に接着剤を使う施術。角結膜炎・アレルギー性眼瞼炎が報告されている(107例中64例・42例)
- 検査した接着剤3種すべてからホルムアルデヒドが基準値超で検出されたとの報告
- 接着剤の成分(HEMA等)は施術者の接触アレルギーのリスク約9倍——それだけ反応を起こしうる成分
- 大切なのは信頼できる施術者選びと、異常時に早く眼科へ。多くは適切な治療で改善している
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定のサロン・施術・化粧品の効果や安全性を保証するものではありません。目の充血・痛み・かゆみなどの症状がある場合は、まつ毛エクステをした旨を伝えて眼科医にご相談ください。
参考文献
- 1. Amano Y, Sugimoto Y, Sugita M. Ocular disorders due to eyelash extensions. Cornea. 2012;31(2):121-5. doi:10.1097/ICO.0b013e31821eea10. PMID: 22134404. PubMed
- 2. Amano Y, Nishiwaki Y. National survey on eyelash extensions and their related health problems. Nihon Eiseigaku Zasshi. 2013;68(3):168-74. doi:10.1265/jjh.68.168. PMID: 24077489. PubMed
- 3. Symanzik C, Weinert P, Babić Ž, et al. Allergic contact dermatitis caused by 2-hydroxyethyl methacrylate and ethyl cyanoacrylate contained in cosmetic glues among hairdressers and beauticians who perform nail treatments and eyelash extension as well as hair extension applications: A systematic review. Contact Dermatitis. 2022;86(6):480-92. doi:10.1111/cod.14056. PMID: 35088905. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。件数・比率は原著の抄録で確認した数値のみを掲載しています。